夏休みの宿題が進まない子へ/やる気だけに頼らない5つの工夫

「やらない」のではなく、始め方が分からないこともあります
夏休みは自由な時間が増える一方で、宿題をめぐって親子ともに疲れやすい時期でもあります。

「声をかけても始めない」
「少し間違えると怒ってしまう」
「机には向かうけれど、なかなか進まない」

このような姿を見ると、つい「やる気がないのかな」「もっと頑張ってほしい」と感じてしまうかもしれません。

しかし、宿題が進まない理由は、やる気だけではありません。

何から手をつければよいか分からない
宿題の量が多く見えて圧倒される
問題文を読んで、考えて、書くことに大きな負担がある
間違えることへの不安が強い
分からないときの尋ね方が分からない
疲れや暑さで集中しにくい

子どもによっては、「宿題を始める」という一つの行動の中に、たくさんの難しさが隠れています。

当施設では、ただ宿題のページを進めるのではなく、子ども自身が取り組み方を考え、自分に合った方法を少しずつ見つけられるよう支援しています。

宿題を進めやすくする5つの工夫

1.今日することを本人と一緒に決める

宿題を始める前に、まず本人に「今日はどこを、どのくらいする?」と尋ねています。

「今日は1ページする」
「漢字だけする」
「計算プリントをここまで進める」

このように、取り組む内容や量を本人が決めます。

大人が一方的に「今日はここまで」と決めるよりも、自分で選んだ方が取りかかりやすくなる子もいます。また、自分がどのくらいならできそうかを考えることは、学習の見通しを持つ練習にもなります。

量を多くすることよりも、まずは本人が「これならできそう」と思えるところから始めることを大切にしています。

2.最初から難しいときは、一緒に始める

宿題を見た段階で「分からない」と感じ、手が止まってしまうことがあります。

そのようなときは、無理に一人でさせるのではなく、指導員が一緒に問題を読んだり、最初の一問を考えたりします。

一方、自分で取り組めそうなときには、

「分からなくなったら、指導員に声をかけてね」

と、あらかじめ伝えています。

宿題を自分ですることは大切ですが、何でも一人で解決することだけが目標ではありません。分からないことに気づき、「教えてください」「一緒に考えてください」と助けを求められることも、大切な学習の力です。

3.答えを見始めたり、席を立ったりする理由を考える

一人で宿題を進めているうちに分からなくなると、答えを見ながら空欄を埋め始めることがあります。また、集中力が切れて席を立ち、別のことを始めることもあります。

その行動だけを見ると、「答えを写している」「集中していない」と注意したくなるかもしれません。

しかし、その前に、

「どこから分からなくなったのかな」
「問題が難しすぎたのかな」
「疲れて考えられなくなったのかな」

と、行動の背景を考えます。

答えを見ることや席を立つことが、その子なりの「分からない」「もう難しい」というSOSになっている場合もあります。

そのため、指導員から声をかけて一緒に考えたり、どこでつまずいたのかを確認したりしています。

4.集中できないときは、運動してから戻る

集中力が切れているときに、「座って」「早くしよう」と声をかけ続けても、なかなか学習には戻れません。

そのようなときは、いったん運動を促すことがあります。

少し歩く、ストレッチをする、トランポリンをするなど、短時間でも体を動かすことで気持ちが切り替わり、再び机に向かいやすくなる子がいます。

運動をして終わりではなく、

「運動が終わったら、また宿題に戻ろう」

と確認してから切り替えます。

はなかまるふくでは、休憩や運動を「宿題から逃げること」とは考えていません。もう一度学習に戻るために、心と体の状態を整える時間として取り入れています。

実際に、集中が切れたときに自分から運動を選び、終わった後に宿題へ戻れるようになってきた子もいます。

5.難しい課題の前に、得意な課題から始める

「今日は漢字をする」と決めていても、実際に始めてみると、漢字が難しくてほとんど書けないことがあります。

手が止まり、「もうできない」と感じているときに、そのまま難しい課題を続けても、苦手意識が強くなってしまいます。

そのような場合は、いったん本人が得意な課題や取り組みやすい問題に変えることがあります。

まずは得意な問題で鉛筆を動かし、「書けた」「できた」という感覚をつくります。少し調子が出てきたところで、もう一度漢字に戻ります。

漢字の読み方や形を指導員と一緒に調べながら、一文字ずつ取り組むこともあります。

予定どおりに進めることだけにこだわらず、その日の状態に合わせて順番や方法を変えることで、難しい課題にも戻りやすくなります。

できた量だけでなく、学び方にも目を向ける

夏休みの宿題は、決められたページを終わらせることが一つの目標です。

しかし、答えを見ながら空欄を埋め、たくさんのページを進めても、本人の理解につながっていないことがあります。

当施設では、できた量が少ない日があっても、一緒に問題を考えたり、「なぜこの答えになるのか」を確認したりすることを大切にしています。

  • 自分で今日する量を決められた
  • 分からないと伝えられた
  • 指導員と一緒に考えられた
  • 集中が切れたことに気づけた
  • 運動した後に学習へ戻れた
  • 得意な問題から始め、難しい課題にも挑戦できた

これらも、宿題を通して身につく大切な力です。

「全部終わったね」だけでなく、

「自分で始めるところを決められたね」
「分からないと声をかけられたね」
「運動の後に戻ってこられたね」
「一緒に考えたら分かったね」

と、取り組む途中の行動も具体的に伝えています。

宿題は、子どもに合った学び方を知る機会です

夏休みの宿題は、ただ終わらせることだけが目的ではありません。

どのくらいの量なら取り組みやすいのか、どこで手が止まるのか、どの時間帯なら集中しやすいのか、どのような説明なら理解しやすいのかを知る機会にもなります。

書いて覚えることが得意な子もいれば、声に出す、リズムに合わせる、絵や図を見ることで理解しやすい子もいます。

同じ方法を何度繰り返してもうまくいかないときは、努力が足りないのではなく、その子に方法が合っていない可能性もあります。

大切なのは、今の子どもに合う量や順番、学び方を一緒に探していくことです。

当施設では、子どもの様子を見ながら学習時間や課題の順番を調整し、必要に応じて運動や休憩を取り入れています。

宿題を通して、問題の答えだけでなく、

「自分はどのようにすれば取り組みやすいのか」
「困ったときには、どうすればよいのか」

を少しずつ知っていけるよう支援していきたいと考えています。